環境科学会 会長あいさつ

第13代花木啓祐会長の後を引き継ぎ、このたび、2017、18年度の会長を務めることになりました明治大学の柳でございます。社会科学分野の会長としては、第4代森島先生、第7代浅野先生、第12代細田先生に次いでの就任となります。
ところで、本学会は、振り返ってみますと、1977年から10年間継続しました文部省の科学研究費の環境科学特別研究が1986年度をもって終了した際、その研究に従事した1500名を超える環境研究者の研究活動を継続的に活かすには学会という形が良いのではないかということで、諸先輩のご尽力で、1987年に任意団体の環境科学会として、発足致しました。
環境科学という用語は、国際的にも1970年あたりからOECDの教育研究や科学政策の会合でも公式に用いられました。環境科学は、学際的な領域と言われますが、アカデミックな個別のディシプリンだけでは、現下の環境問題を解決できないという既存の学問体制へのアンチテーゼとして出現したものとも言われていました。
1977年当時、北大、東北大、筑波大、名古屋大、広島大の大学院に環境科学研究科が認可され、環境科学の教育と研究がスタートを切ったわけです。
個人的なことで恐縮でありますが、私も筑波大学大学院環境科学研究科の一期生であった頃、「環境科学」とは何かが絶えず問われ、学生のみならず、教官にとっても暗中模索の日々であっただろうことを思い出します。科学としての体系化も道半ば、多くの学生は修士の資格だけでは、研究者への道も程遠く、研究するならば、他の博士課程に進むか、はたまた自ら長年をかけて自分のディシプリンの立ち位置(役割・能力・限界)を他のディシプリンの人々とお互いに共有しあった上で、学際的な接近に努めるべきだと言われ続けてきたことを改めて思い出します。
環境科学の学際的な研究の試みは、その後も科研費の重点領域研究「人間-環境系の変化と制御」によって続けられ、その研究成果報告を本会と共催という形で、年会を通じて行なわれてきました。本会が1993年6月に、当時の文部省の認可を得て法人化した頃から、独立して年会を行うようになりました。社団法人環境科学会の定款では、「人間と環境に関わる学問分野の専門家及び研究者等相互の交流を図り、その有機的連携のもとに、環境科学に関する諸問題を学際的及び総合的に調査・研究し、もって、環境科学の学術文化の発展に寄与するとともに、これら成果の普及及び啓蒙に努め、世界の環境保全・創造に貢献する」との目的を定め、つくばを拠点に活動を推進し、会員も1996年度末には1900名超というピークを示すに至りました。
1997年から2000年まで第9代会長の鈴木基之先生を代表とする特定領域研究「ゼロエミッション」の研究成果を学会に併せて研究発表するという前例を復活させる工夫がなされました。しかし、特定領域研究の終了前後から会員は減少傾向となり、その後、会員増強、財政基盤の確立、会員へのサービス向上という努力が続けられました。
その一方で、この時期に環境関連の新たな学会が陸続と創設されるようになり、環境研究者が本会からそれぞれの分野での活動に飛躍・分散した時期とみることもできると思います。社会科学の分野では、1993年に環境社会学会、1995年に環境経済政策学会、1997年に環境法政策学会が創設されています。
本会は、細田会長時代の2013年7月、内閣府の認定を受けて、公益社団法人環境科学会として、新体制へ移行し、花木前会長の指導のもとで、スムーズに2016年から事務局機能の効率化とアウトソーシングが図られ、現在に至っております。
以上、少し先人・先輩諸氏のご努力を振り返りましたが、本会も来年の3月には創立30周年を迎えます。これを機に、他のディシプリンとの協働の精神に立ち返り、現下に生起する具体的環境問題の解決に資するという環境科学の使命と役割に思いを新たにしたいと思います。花木前会長の示された「知的刺激を得て自らを切磋琢磨する」集団としての学会活動を受け継ぎつつ、公益法人としての定款に掲げられた、「世界の環境保全・創造に貢献する」という目的を構成員のすべての会員が十分に発揮できるような質の高い交流の場を作り上げる努力を継続したいと思います。そして、新たな理事・監事・評議員の皆さまの支援の下、更なる環境科学の発展と情報発信ならびに会員サービスの向上を目指して、一層の努力と活動を行って参りたいと存じます。変わらぬご支援とご援助を賜りますようお願い申しあげ、就任のあいさつに代えたいと思います。

第14代 環境科学会会長 柳憲一郎(明治大学法科大学院法務研究科教授)
「環境科学の生誕の頃を振り返って」


創立25周年記念誌

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